少年時代

ケーブルで流していたので見ていた。
昭和19年、東京が空襲を受ける危険があるというので主人公の少年がひとり親戚のいる富山に疎開し、そこで様々な体験をし、戦争が終わって東京に帰るところで終わる。
実によく出来ていて、青春映画としても戦争を皮肉に見る映画としても、いかようにも受け取れる。個人的には通学途中の生徒が軍歌を唄っているところとか、疎開する主人公が父親に「戦艦陸奥のバックルをくれ」とせがむところとか(すでに爆沈している陸奥というところが皮肉)、東京に帰る主人公を同級生が見送るところで、子供らが軍歌を唄っていると駅長が「そんなものを歌ったらいかん」と咎めると主人公の叔父が「軍歌以外の歌なんぞ知らんわい。構わん、歌え」と子供たちに言いきるところとか、学校で日本ニュースの上映会をやるのだが、欧州方面のニュースはかなり古い内容で「ヒトラー総統はイタリアとともに──」という報道があるが、イタリアは昭和18年9月にとっくに降伏していたりと、軍事面では皮肉に満ち溢れていて最高だった。
戦時中を題材にしたドラマなんかだと、人間模様とか戦争の悲惨さとかを強調して軍事的な考察が疎かなものが多いと聞くが、この映画に関しては軍オタでも満足できる。