なんだろうね、この感情は

好きなものが批判されるというのは、あまり気分がいいものではない。
批判そのものは存在するべきだと思う。批判がなければ作品は磨かれまい。けれどもまあ、ファンとしてはなんつうか、心安らかではいられない。批判がコンボで続けば尚更である。

http://d.hatena.ne.jp/kaien/20041028 の本文でガンスリ書評、コメントで補足がなされている。

『ぼくはエンターテインメントとして物足りなさを感じるんですね。あいかわらずの設定の甘さはともかく(それは「愛人」だってそうだし)、トリエラの過去話は物語としての筋は悪くないと思うのです。必死に子どもを救おうとする大人たちと、それをあざ笑うような現実、そしてそれをくぐりぬけたトリエラとヒルシャーの現在――悪くない。ただ、それを作品として表現する次元で、伝わってくるものがいかにも薄い。べつに社会的な問題意識をもって書けともいわないし、淡々とした進行が悪いとも思わないけれど、インパクトは弱いと思う。それがぼくのいまのところの評価です。もちろん、今後はわかりませんし、このアンバランスを評価するひともいるでしょうが。』

このあたりは、理性で納得することが出来た。そう感じる、という主観だからだ。


http://d.hatena.ne.jp/kaien/20041027 のコメントのほうで、Ever17に関する話が出てくる。
時代認識をトリックに使うという話題に関して、

# hajic 『『ever17』ですね。あれでもう少し人情の機微がきちんと描かれていれば…。SF系ライターには望むべくもなかったのかもしれませんけど。』
# まきがい 『現代→江戸時代ほどのスケールじゃないですが、まさにEVER17そのものですね。あれのライターはSF系なんですか。作品自体はSF要素はおまけでメインはミステリーでしたんで、そっち系かと思った。ああいうメディアを活用したトリックを使ったミステリ系ゲームには、まだまだ可能性がありそうです。Quartett!は別にトリックでもなんでもないのがたちわるいんだが。』
(略)
# hajic 『同じく幻視同盟にはやっつけられました。あれはまた、見事な著述トリックというか、その見本というか。
実際ever17のライターが何畑のご出身かは存じ上げておりませんが、内容の論理整合性にこだわりまくった結果として人間の物語がさっぱりお手すきになるというあの傾向、あれは間違いなくSF作家の特性です。』

id:hajic氏のコメントがどうにも自分の文章もしくは話の流れに酔っているように受け取れた。最初のほうは「もう少し」と言っておきながら最後は「さっぱり」である。そして、「SF系ライター・SF作家の特性」などと属性攻撃をしているのが不快であった。

自分はEver17は見事な出来だと思う。各種のトリックとギミックも新鮮であったが、やはり人間の物語だからだ。ひとが、生きる。それだけのことをゲームシステム全体を使って表現した意欲作であり、それは成功していると感じる。
そのほかの例として挙げられている作品を知らないので、比較すれば上手下手はあるだろうが、それはそれとして。

自由な議論はあるべきだし、様々な考え方があるのも結構だ。けれども、Something Orangeがこの件で居心地の悪いところになったのも確かである。