ガンダムSEED DESTINY

今回はなー、面白く見せられる要素があったにも関らず生かされていない。脚本と演出のどっちが悪いんだろうか。

ザフト軍カーペンタリア基地を出発したミネルバ以下2隻は連邦軍により攻撃を受ける。連邦軍は、例の特殊部隊が奪ったガンダムシリーズを中核に、付近に建設中の基地の守備隊のMS全機を加えた編成。
で、その建設中の基地ってのがあまりにもアレなのだが。
旧軍じゃあるまいし現地人を労働力として徴発してどうするよ。
ここで出来た展開としては、非武装の土木作業用MSまでも攻撃のために毟られてしまう設営隊、とかそういうもんだろうに。
他にも戦車など重機の代用が出来る車両がありながら、非効率な住民徴発を実施している理由の説明がつかん。単に後にシンの怒りの対象となるだけの道具だからだとしても、(ガンダム世界内でも)現実味が薄い。


で、来襲するMS部隊を迎撃するためにインパルスとセイバー出撃。この二機の指揮はアスランが執ることになるが、アスランはどう迎撃するか具体的な指示を一切出していないのに、戦闘中シンに「前に出すぎだ」等々文句をつけ、あまつさえ戦闘終了後には往復ビンタである。翌日艦内からアスランが居なくなっても誰も文句は言うまい。
これを今後の二人の確執に昇華するつもりかもしれないが、だとしたらきっちり描写すべきではなかったか。

戦闘の展開としては空中戦に気をとられている間にアビスが奇襲をかけてくるとか、ガイアが無理やりやってくるとかあったけれど、まあこのへんはどうでもいいか。あんまり問題ないし。
問題があるとすれば、どういう指揮系統にあるのか知らないがこの特殊部隊、他隊から30機のMSを出させてこれを全損、基地も破壊されるという状況の一端を担いでいるのに、おそらくはその責任を問われることがないまま次もひょこひょこ出てくるんだろうなあ、という点。
これで戦果があるならともかく皆無だし。


今の作品を語るのに初代を持ち出すのは好きではないが、あえてしよう。初代ガンダムではシャアはガルマを守れなかったという理由をつけて一線から退き、その後キシリアの後ろ盾で前線に舞い戻る。そういう、「責任」というものが物語に組み込まれているのだが、今作では、今回の話を見る限りにおいては、個人の責任というものが組織の中で描写されることは、期待できないといえる。