アフターイベント

イベント終了後、嫌がる妄想さんを呑みに誘う。
デスレース2000話で盛り上がり二人ともいい具合に出来上がる。
何話したか覚えていないが楽しかったのは覚えてる。明日から頑張ろうと思う次第。


「バカぁ!」
帰宅した自分を出迎えたのは泣き声混じりの叫び声だった。
「いま何時だと思ってんのよ! ていうかあたし放ってどこで遊んできたのよ」
いやまてお前。今夜は予定通りだし、そもそも予定はお前と一緒に調べたんだから知っているはずだろう。なんで怒られなきゃならん。
「そんなことは分かっているわよ。でもね、あたし、もう」
怒ってはいるが、声に力がこもらなくなってきた。なぜと思ってよくよく見やればACアダプタが抜けている。で、こいつはいま起動している。ゆえに……
「そうよ。起動したままで電源抜いてっちゃうんだから。省電力モードで待ってたけれど、だんだんバッテリー残量少なくなってくし、あなたは帰ってこないし」
あわててACアダプタをコンセントに差し込むと、ほっと安堵の息が吐かれた。
「あたしは別に、どうでもよかったのよ。でもバッテリ切れたら編集中のファイル消えちゃうし。だから、出来るだけ消耗しないようにじっとしてて。部屋は暗いし誰も来ないし……それに、寂しかった」
まー、たいしたことないテキストなので消えてしまっていても問題なかったのだが、今それをこいつには言えるほど自分は薄情になれない。
「悪かった」
「本気で思ってる?」
「本気だ」
「本気の本気?」
普段の本気が0dbなら今度の本気は40dBくらい。
「じゃ、許してあげよっかな」
そう言うと、彼女はにんまりと笑った。
「増設バッテリー欲しいなー」
給料が出たら前向きに検討してみる。
「ん、じゃあそのときは一緒に連れてってね」
お前今でもじゅうぶん重いだろ。
「重くてもバッテリー容量で選んだの、あなたでしょ」
そうだったっけか。
「そうだってば。ほんと、あなたの記憶力は頼りにならないわね。ま、薬やってる分は仕方ないけれど、やっぱあたしが全部メモしないとダメみたい。毎日ちゃんと入力するのよ?」
はいはい。
「ハイは1回!」
はいな。
「真面目にやりなさいよ。ところで姉さん元気だった?」
こいつにとっての姉といえば自宅に置いているデスクトップPCのことだ。あれこれと周辺機器をつないでいるので移動するのが面倒で、自宅に置きっぱなしである。
「あたしも姉さんみたいな増設ディスク欲しいな」
バッテリと外付けHDDのどっちかにしてくれ。
「両方。ま、順番からいけばバッテリかな。当面ディスク圧迫するソフトないでしょ。買っただけでつんであるエロゲたくさんあるし。ていうかあたしでエロゲプレイするな」
まあ、プレイする時間ないからな。
「だからバッテリが先でいいでしょ。そしたら、だって、その……いつも一緒にいられるじゃない」
視線をそらして、最後のほうは小声になっていたが、自分の耳には届いた。
 
スペック的にはたいしたことがないこいつだが、大切にしてやりたいと、本気で思った。