海までがこんなに遠かったなんて

夕食の支度をしていると友人から電話があり、「車屋にいるので迎えにきてくれ」とのこと。
詳しい事情はわからないにせよ車で何かあったのだろうと調理中の食材を放り出して急ぎ迎えに行く。で話を訊くと車を修理に出したのだが歩いて帰るの面倒なので呼んだとのこと。車の傷も以前つけたもので今日何かあったわけではないということだった。
安心すると同時に脱力。
ま、事故とか怪我ではなかったのでとりあえずOKってことで。それっぽい時間だったので食事して帰ることに。部屋に帰れば加熱調理中のもやしが待っているというのにああああ。食事のあと適当に車走らせて帰る。
海はしばらく無理そうだ。


「あんたってバカでしょ」
自覚はあるが他人というか人ですらないものに指摘されると自尊心が傷つくのは何故だろう。
秋葉原まであたしを持っていったのに結局一度も使わないで帰ってくるなんて。単に余計な荷物背負っただけじゃない。何か使う予定があったってわけでもないし」
いいじゃないか。お前を連れていきたかったんだよ。使う使わないは結果にすぎん。
「な、なによそれ。それこそ本当にバカじゃない」
こいつは話の接ぎ穂に困ると人を馬鹿よばわりするのだな。ふむふむ。
「じゃあさ、何買ったの? やっぱりバッテリ?」
いや。調べてみたらお前省電力モードで5時間働くらしいからな。予備バッテリはいらん。機動性が落ちる外付けのハードも当面いらん。
気を悪くするかと思いきや、神妙な顔つきで話に聞き入っている。
「ということで、ハードは無しだ」
「ならソフトよね?」
「ラムネとふたご姫のDVD買ってきた」
「ゲームは?」
重かったから、それしか買ってない。
「バカー!」