炎628(ASIN:B00005LJZS)

早朝、隣人が留守であることがわかったので遠慮なく鑑賞開始。
2枚組で、最初は日本語スクリプトの出し方が分からなくて苦労する。ロシア語で『日本語』って表記されてもわからん。
 
細かいストーリー展開は、そのへんのレビューにあるだろうからそちらに譲るとして思ったこと。
「戦争、やっちゃいかん」
当たり前のことなんだが、国土を侵略されれば普通土地の人間は蜂起する。多くは不正規軍、パルチザンとしてだ。当然、侵略側はパルチザンの制圧が必要になる。正規軍と違って土地に根付いたパルチザンを撃破するには、その土地にある村々を破壊していくしかない。村の破壊は更なる憎悪を生み、次のパルチザンを生み出す。泥沼だ。
泥沼にならない方法はただ一つだけ、戦争をしないことだ。
 
ただ、日本の場合どうなんだろうという考えはある。日本が侵略を受けて自衛隊が撃破され、国土が占領されたとき、不正規軍として活動する気概はあるのかどうか。海原治『私の国防白書』ではそのようなことが書かれている。たとえ軍事的に占領されたとしても、抵抗活動を続ければこれを退けることは可能であると。ただ、それが今の日本で可能であるかどうかは非常に怪しい。銃の扱い方も軍事訓練も受けてないし、それ以前に抵抗する意思があるかどうか。
 
それにしても、これだけ悲惨な出来事を表現しているのに、イデオロギー的なものとか、ドイツをことさら悪し様に描写するような作品でなかったのは凄いと思う。製作者は憎しみではなく、この事実があったことを伝えるために映画を作ったのだろう。事実をどう受け止めるかは観客に委ねて。
このような作り方がされる作品、ハリウッド映画には少ないよなあ。
印象的なシーンが一つ。村を焼き払ったドイツ軍部隊がパルチザンに逆襲をくらい、わずかな捕虜が銃を向けられている。彼らにガソリンをかけ、銃弾を叩き込むパルチザン。松明をもったパルチザンのひとり、彼らの死体に火をかけるかと思いきや、水溜りに松明を捨ててその場を後にする。それが、直前のSS将校の「劣等民族め」という言葉をことさら強調させているように思えた。