第六大陸

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA) 第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)
第1巻は既読。今日読んだのは第2巻。
いま読まなければ良かったなあと激しく後悔している。
つまらないわけじゃなくて、面白すぎるので。
あらすじを説明すると、近未来の日本においてずば抜けた技術力を持つ建設会社に一つの案件が持ち込まれる。「総工費1500億円、工期10年でで月に結婚式場を建設する」──大財閥の一人娘のわがままから始まった民間による月面有人基地建設プロジェクトの構想から完成までを2巻で描ききった力作。
1巻では準備段階、無人作業ロボットを月まで持ち込むところで終わっている。トラブルはあるにしても万事順調に解決され、物足りなさを感じなくもなかった。
しかし2巻で実際に人間を月に送り出す段階からトラブルの連続。事故、国際法、そして予算──予想しうるトラブルが次々と襲い掛かる。小手先でどうにかなる解決法などなく、真正面からそれに立ち向かっていくしかない。そうした人間たちの姿が凛々しい。
後悔したというのは、そういう部分を読まされると、自分もそうした態度で仕事をしたくなる、という点だ。
現在休職中で復職はとうぶん無理。仕事が出来るのはいつの日か分からない。そして、会社にいたとしても正面から問題に取り組むことが要求されるような、そんな仕事には滅多にめぐり合うことが出来ないという現実。
まあ人生仕事だけじゃなくて日々の生活そのものだって、真剣にやらなくちゃならない。頭では分かっているが、それでも『仕事』というステージで真剣にやりたいという願望は別物だと思う。
今現在もたぶんこの先も期待できない現状で、作中で奮闘する登場人物を見せ付けられ、感動以前に引け目を感じてしまった。
逆にいえば、職が決まったけれども上手くやっていけるか不安なときなどにこの本に出会えれば勇気付けられるかもしれない。