読書

日本はなぜ敗れるのか

著者は山本七平。戦争に敗れた理由とその後も変わらぬ日本の体質について、小松真一「虜人日記」を引用しつつ論を進めていく。 なぜ虜人日記なのか。フィリピンに軍属として派遣され、その後戦闘に巻き込まれ、終戦後降伏して捕虜となった著者の立場が「自由…

社内うつ

日常生活には支障はないのに会社で調子が出なくなる「社内うつ」を、うつ病とは区別し、蓄積されたデータからどのような原因により発生するか、それを加速する要因は何かをまとめたもの。で、本書の結論は「カウンセリングを受けろ」。 本を読んだ感想。『こ…

海辺の小さな町

著者は宮城谷昌光。 美しい日本語を使う人だと教えてもらって読んで以来、その美文に魅了されている。 数行、数ページを読むだけで、その美しさに感動する。 というか、あまりにも美しくて、決して到達できない領域にある文章だと認識して落ち込んでしまうこ…

テロ爆弾の系譜

詳しい内容は http://blackbox.pandora.nu/TX6/BK01.HTM あたりを読んでください。図書館で借りて、読み終える前に返却期限が来てしまいましたので個人的な感想がかけないのですが。 テキストから知性が感じられるというか。訓練によって習得した文才という…

クルディスタンを訪ねて

トルコ国内のクルド人の話。↑の本とは一転してトルコの暗部がさらけ出される。 一旅行者のエッセイではあるが、正直つらくて一冊続けて読み終えることが出来なかった。 映画の少女ヘジャルを観にいったときについでに購入したのだが、ここまで激しい内容だっ…

救出 日本・トルコ友情のドラマ

日本とトルコとの関係を書いた児童書。 そもそもは明治日本に使節団を送ったオスマン・トルコ帝国海軍巡洋艦エルトゥールル号が遭難した際、生存者を手厚く看護し本国まで送り届け、死者は丁重に葬ったことから始まる。 本の前半は、そのエルトゥールル号遭…

夏の葬列

id:Hirai:20040714#p3で児童書がとりあげられていて、コメント欄ではトラウマ本祭り。そのなかに山川方夫「夏の葬列」があって、そういえば詳細忘れてしまったなあ、と図書館で借りてくる。 やー、こんな話だったか。話としては救いようがないのだが、文章の…

第六大陸

第1巻は既読。今日読んだのは第2巻。 いま読まなければ良かったなあと激しく後悔している。 つまらないわけじゃなくて、面白すぎるので。 あらすじを説明すると、近未来の日本においてずば抜けた技術力を持つ建設会社に一つの案件が持ち込まれる。「総工費1…

愛のひだりがわ

何もしないことに流石に飽きてきたので、軽く読書。軽くない読書というのは、自分用語で、主に資料をあたったりして本の中から何か探し出すときのこと。 でもまあ、軽い読書でも得るものが皆無ではなく。なんていうのか、まるで小説の教科書みたいによく出来…

忘却の船に流れは光

著者は田中啓文。田中啓文とSFをそれなりに読んでいる人ならばオチは予想できるし実際予想は当たったけれども。それでも最後まで飽きさせずに引っ張ってくる筆力は凄い。 グロテスクというか気色悪い描写も健在。というか力入りすぎ。主人公は事あるごとに…

大石圭

死者の体温 ISBN:4309012159、出生率0 ISBN:4309010911読む。 どっちも救われない話だ。 「死者の体温」は、人間というのはかけがえのない、スペアのない存在という考えをもつ男が、そのかけがえのない存在を消去する──殺すことに快楽を覚えているという話…

八月十五日の空

著者は秦郁彦。1978年出版で、95年に文庫化されているが、品薄のようである。少なくとも近所の本屋にはない。 副題が「日本空軍の最後」となっているように、八月はじめ、終戦近しというのが噂されるようになってから、終戦の日、そして終戦後の混乱を…

世界紛争地図

ISBN:4104078018 著者は松井茂。 著者本人のホームページはなさそうだが、紹介ページはこんなところ。 http://www.onda-honpo.com/military-commentator/military-commentator_06.html発行が1995年なので情報は古いかなあと思ったが、そんなことはなく。…

黙示の島

プリキュア視聴後、出かける用事があったのだけれど、無駄足を踏まないように電話で確認。結果、すぐに出発する必要がなくなったので、続きを読む。そして読了。 心身を休めるために僻地の離島にやってきた社会学者が、最初はちょっとした、そして次第に大き…

黙示の島

朝おきてパソコンの電源入れて、OSが立ち上がるまでについつい酒瓶に手が伸びてしまって。昨日の戦訓が活かされていないというか何というか。 「ああ、そういえば今日は外出するんだったなあ」という理由でとりあえず手を引っ込める。起床時間を記入すると…

丸山静雄『インパール作戦従軍記』

「資料ばっかり読むのもつまらんから、エンタメ作品を」と思って図書館を物色して見つけた一品。 感想。実につまらん。 従軍記者がある部隊に同行して、その兵隊の日常を事細やかに描写しているのだが、それだけ。資料的価値もないし、文章としても面白くな…

撃墜王との対話 続々大空のサムライ

ちょっと調べたいことがあって、図書館で借りてきた。対談集なので空戦のエピソードなどは、ある概念──鍛錬とか精神とか──を語るときの例として使われるだけであるが、それが実に的を得ていて面白い。探していた情報は見つからなかったが。 作中、『鼠はまだ…

空母信濃の生涯

早朝からアニメ観るわけにもいかないので、ズブロッカをやりつつ読書。以前古書市で購入した豊田穣著『空母信濃の生涯』を読む。といっても精読するわけでもなく、情報の拾い読みのような感じで。 通説では出港の際、ついでに桜花を輸送することになったと書…

ザビット一家、家を建てる(ISBN:4030163807)

どうにも眠れなかったので、読書というか写真集を手にする。 長倉洋海がコソボのある一家を取材して出来た写真集。 著者が三年半前にコソボに行き、その際に出合った一家だそうで、今回の取材は再訪ということになる。ちょうどザビット一家が、自分の家を建…