発端

いろいろ考えることが沢山あって、どこか静かなところで頭だけを冷やしつつじっとしていられないかと思った。
冬だから外に出れば寒さについては保証されるとして、静かで、落ち着いて、という条件を満たすのはなかなかに難しい。できれば人気のないところがいい。
しかしよく行く場所には条件にあてはまる場所はない。
では逆に、普段行かない場所だったら可能性はある。

そういうわけで考えてみる。
結果、平日で、冬の海なら人もおらんだろうという結論に至った。


不思議なもので、海という具体的な場所を決めてしまうと、「冬の海」という未知の場所についての期待がどんどんと膨らんできて、ついには義務になってしまう。
「俺は、冬の海を見なければならない」と。