撃墜王との対話 続々大空のサムライ

ちょっと調べたいことがあって、図書館で借りてきた。対談集なので空戦のエピソードなどは、ある概念──鍛錬とか精神とか──を語るときの例として使われるだけであるが、それが実に的を得ていて面白い。探していた情報は見つからなかったが。
作中、『鼠はまだ生きてゐる』という本からの引用があるが、その一文が印象的だった。


『完全なる正確さに到達しようと思うのは妄想である。しかし、何事につけても、どうにか許容し得る程度の近似に達することは有益である』

文章を書いていると、まだ完成度を高めることが出来るのではないかと思って手を入れてしまったり、この程度でいいのかと悩んだりすることがある。だが、いかな名文であろうと公表しない以上は評価を受けることがないわけで、公表するためにはどこかで妥協して世間にさらさねばならない。だが、それでも……と思うとき、上の言葉は励みになる。