黙示の島

プリキュア視聴後、出かける用事があったのだけれど、無駄足を踏まないように電話で確認。結果、すぐに出発する必要がなくなったので、続きを読む。そして読了。
 
心身を休めるために僻地の離島にやってきた社会学者が、最初はちょっとした、そして次第に大きくなっていく事件に巻き込まれるというのが乱暴なストーリー紹介。これ以上はネタバレなので。
ジャンルを分類しようと思っても既存のカテゴリーに収まらない。
個人ではどうしようもないもの、たとえば社会や歴史などが背景にしっかりと存在していて、その上で一人一人の人間が次第に混乱していく状況に巻き込まれていく中で、何を考えてどう行動するかを描写する──それが自分の思う佐藤大輔節だけれども、この作品でもしっかりそれが踏襲されている。
加えてその文体も変わっていない。たとえば、

(略)ついでにテレビも点けた。チャンネルはNHKの衛星放送に合わされていた。放送されていたのは覚醒剤を常用しているのではないかとおもわれるほど常に前向きなヒロインの成功物語であったため、すぐに消した。どうにもならないかれの好みとして、主人公の周囲五メートルでしか話が進まないドラマや小説は嫌いだった。

この一節に痺れた。

久々に戦記もの以外で佐藤大輔を読んだが、期待以上の面白さでした。
ところで、パナマ侵攻の3巻はいつ出るのだろうか。