救出 日本・トルコ友情のドラマ

救出―日本・トルコ友情のドラマ (人と“こころ”のシリーズ)
日本とトルコとの関係を書いた児童書。
そもそもは明治日本に使節団を送ったオスマン・トルコ帝国海軍巡洋艦エルトゥールル号が遭難した際、生存者を手厚く看護し本国まで送り届け、死者は丁重に葬ったことから始まる。
本の前半は、そのエルトゥールル号遭難事件の顛末を、物語調でありながらも事実関係を分かりやすく書いてある。
後半は、イラン・イラク戦争の際、イランからの邦人脱出にトルコがしてくれたことを描写している。トルコに対する恩義もさることながら、日本政府というか外務省の無策ぶりが、児童書でありながらも理解できる。

国民の生命と安全をまもらずして、外務省といえるのか。

──野村駐トルコ大使(当時)

ここまで書いた児童書、初めて読んだよ。
小学校高学年向けだからこそ書けるのかもしれないが。
 
残念なところは、近作でありながら、トルコ大地震の際の仮設住宅の提供に関して何も触れられていないこと(関係年表にはあるが)。まあ、仮設住宅の提供が実質的に有効だったかどうかは未だに意見の分かれるところで、定説といわれているものが確立していないため、書けなかったのだろう。
 
児童書とはいいつつも、大人が読んでもいい内容だと評価できる。